今回の依頼は中古で購入した物件の浴室のリフォームについてでした。
不安の残らない工事をお願いしたい
いくつかリフォーム会社、タイル屋さんに相談したところ、防水やタイルの仕上がりについて不安の残る回答だったため弊社に相談をしたとのことでした。

コンクリート造りの戸建てで、浴室に害虫が発生しやすく、その原因を探りながら、希望のおしゃれなタイルでリフォームしたいとのことでした。
モザイクタイルを変えたい
お客様曰く、現場の浴室(以下の画像)は全面モザイクタイルで、目地の汚れを落とすために日々大変な努力をされているとのことでお困りのようでした。

またこの物件、傾斜天井となっており、傾斜が大きいだけでなく、片面はガラスに、そして浴室自体も不定形な形のためにユニットバスでのリフォームが基本不可の物件でした。

入り口にはレインシャワーもついており、この箇所についても全て新しいものに刷新を希望されておりました。

また、上記の排水口からなぜか掃除しても害虫が止まらないとのことで、そこもきちんと対応して欲しいとのことでした。
プランニング
害虫について
ユニットバスではなく、在来工法の場合、浴槽を据え付けた下は土間となっており、一旦そこに水が流れてから排水溝に流れてゆく構造となっています。
これは、汚水が上がってくるのを防ぐためにも在来工法では当たり前の処理となっておりますが、そのために浴槽の裏側にはどうしても汚れがついてしまうのです。
ただ、しっかりと気密していれば虫などが入ったり繁殖したりするようにはならないので、ここについては解体してから対応するという形でリフォームを進めました。
タイルについて
タイルについては当初3mを超えるような大判のタイルの施工を希望されていました。
しかしながら以下の理由で、それは諦め、大判ながらも600*1200というギリギリ大きいサイズにて施工しました。

3mを超えるような大判タイルは素敵なのですが、まず、取り扱いがとてもデリケートで、角が少し欠けただけでも使用できなくなってしまうため、コストがかかること。
また、搬入の取り回しや加工も大変であったり、配送の諸問題があったりと、大型のマンションの新築時にエントランスに使用する等であればいいのですが、このようなリフォームの物件にはまず不向きです。
この辺りは施工を頻繁に行なっているものでないとわからないので、このサイトを見ていただいた方はぜひ覚えておいていただけますと嬉しいです。
名古屋モザイクなどの様々なタイルを取得して検討した結果、KYタイルのカララホワイトを採用することにしました。

浴槽について
浴槽はTOTOのネオマーブバス、スーパーエクセレントバスを検討し、ブローバス(ブローバスSXⅡ)を採用したいとのことでしたのでスーパーエクセレントバスを採用しました。


工事
解体開始
浴槽を撤去し、タイルを張り替えるためにはつって行きます。


モザイクタイルをきれいに剥がせるか?と聞かれると、下地状況によるため回答が難しいですが、基本的には下地を持ってきてしまうため、解体後に再度下地用のモルタルを施工することになります。
解体すると以下の画像の量のゴミがゆうに出ます(一部です)。

壁を補修するためのモルタルや砂の量もこれだけ必要になってきます。

虫の侵入経路
例によって浴室をどかすと、この物件の場合には浴槽から排水溝までは配管がつながっている状態でした。
ただし、土間箇所には濡れを確認でき、地下階に位置するため外周部より雨水等がしみてきているようでした。
土間に雨水が染みてくることはよくあること(というか構造上そう)なのですが、それがこのような仕様の場合に、貯まりすぎた場合には排水されないことが問題です。

本来であれば、浴槽の水も、配管を繋ぐのではなく土間に垂れ流しにして全ての水が排水溝に来るようにするのですが、そうすると今度は逆に虫などの発生が顕著になってしまうため、どうしたものかというところでした。
・浴室に横穴を開けて、排水を逃す
この選択肢も考えましたが、地下階のために逃げ場がありません。
したがって今回は、雨水が染みてきていそうな箇所に局所的に防水加工を施し、土間へ雨水が入ることを最小限に抑える方向で工事を進めることとしました。

一番いいのは工事を止めて、土間部分を全部防水加工することですが、工期的なことやお客様の負担がかなり増えてしまうことを考えて判断しました。
実際にある程度水の侵入を抑えることができれば、一定量のぬれは常にコンクリート層にかかるものですから問題とはならず、これで状況を見ようということです。
浴槽の据付
浴槽の据付とともに、土間の立ち上がり部分に局所的に防水を施します。



この防水によって、過去、排水配管のごくわずかな隙間から害虫が侵入してきていた状況も遮断することになりますので防水と防虫の両面をこの作業で対応していることになります。

無事に浴槽も据付が終わり、下地のモルタルを行いました。
タイルの施工
いよいよタイルを施工してゆきます。
運び込まれたタイルもかなりの量ですね、

きちんと墨出しを行い、タイルを据えつけてゆくのですが、

実際には壁は歪んでいるのでボンドで調整しながらミリ単位でタイルを施工してゆきます。



では、完成した浴室をご紹介いたします。
完成〜モダンなタイル浴室が完成

いいかがでしょう!?
見違えたと思いませんか?!

600*1200のタイルがきれいに納まりました。
棚板も造作し、物がきちんと置けるように。

角の納まりは重要です。端面が見えないように45°カットを工場と現場で行い、きれいに仕上げます。

レインシャワーの箇所も刷新し、気持ちよくこれでお使いいただけるかと思います。

お客様からの声
ありがたいことに複数のサイトに口コミを寄せていただきました。




このての浴室は基本的にオーダーとなり、かつ事前の緻密な打ち合わせが重要になってきます。
仕上がりをきれいに仕立てるのは当たり前として、工事中は騒音や粉塵がかなり出ますので、その辺りを理解いただきながら、お客様のストレスが最小限になるようにスタッフ一同対応にあたります。
今回は途中、雨水の件で少し冷や汗をかきましたが、防水剤も濡れている状態でも使用できる水族館などにも使われる専門材を利用したりと、戸建ての浴室リフォーム業者として私どもでしかできなかった対応だなとも実際心の中で自負しております。
兎にも角にも、全てはお客様の人柄(=理解)があってのことだと思います。いつも素晴らしいお客様と現場にあたらせていただきとても幸せです(本音です)。
[物件情報]
施工エリア:東京都目黒区
対応内容:地層階の浴室リフォーム
使用メーカー:KYタイル、TOTOスーパーエクセレントバス、TOTO水栓等
目安工事費用:450万円前後
今回の内容での要点・Q&A
- Qタイルオーダー浴室リフォームの費用はどのくらいかかりますか?
- A
仕様や規模によって異なりますが、事例では約450万円前後が目安です。選ぶタイルや防水工事の範囲によって費用は大きく変動します。
- Q浴室リフォームの工期はどのくらいですか?
- A
一般的には解体から仕上げまで約2〜3週間程度です。特殊形状や大規模な施工の場合はさらに期間が延びることがあります。
- Q防水処理はどのように行いますか?
- A
地下階や土間構造では雨水の浸入が懸念されるため、局所防水や全体防水を検討します。施工後の耐久性を確保するため、下地補修と併せて防水処理を徹底します。
- Q害虫対策は必要ですか?
- A
排水経路や隙間からの侵入を防ぐため、防虫処理を解体後に行うことが推奨されます。特に地下や湿気の多い環境では重要です。
- Q大判タイルを使った浴室リフォームは可能ですか?
- A
3m超の大判タイルは施工難易度が高く割れや加工のリスクがあります。現実的には600×1200mm程度の大判タイルが推奨されます。
