国産ユニットバスの選択肢
国内主要ユニットバスの種類
2024年現在、主要なユニットバスメーカーは以下の通りです。
- リクシル
- TOTO
- パナソニック
- タカラスタンダード
- クリナップ
- ハウステック
- 積水ホームテクノ
- トクラス など
国産ユニットバスのシェア率参考
LIXIL、TOTO、パナソニックの3社で全体のうち約70%のシェアを占めていると言われています。
LIXIL、TOTO、パナソニック3社で業界をリード
https://www.reform-online.jp/story/4212.php
ユニットバスは近年さまざまなタイプが登場。市場は、LIXIL、TOTOの2強体制に、パナソニックが追い上げる展開。
ー そのほかの会社ってじゃあ一体なんなの?
様々な理由があるでしょうが、メーカーとしてユニットバスのラインナップを持っておきたい、ということが商品展開を残している理由の一つではあると思います。
したがって、リクシル、TOTO、パナソニックに比べると、商品開発力にもしかすると劣るかもしれませんが、それは以下の章で紹介する各メーカーの近年のユニットバス新商品展開の更新状況で伺うこともできるかと思います。
そう考えると実は少ないユニットバスの選択肢。
以下の章では、各社が展開するユニットバスを紹介しながら
売れ筋やシェアに囚われることなく、あなたに合ったユニットバス選択の一助となれたらと思い解説してみたいと思います。
さらにデザインにこだわる方におすすめな選択肢
ータイルユニットという選択肢
耐久性やデザインの面で「タイル」を使用したユニットバスも人気です。
国産であれば現時点でリクシルの「スパージュ」のみがタイル、セラミックパネルを用いたデザインのユニットバスを提供しています。
リフォームの価格でいえば、220万円前後からタイルの浴室が叶いますので、デザインにこだわる方にはおすすめの選択肢、特出すべきメーカーとなっています。
ーオーダーユニットバスという選択肢
リクシルのタイルは数種類のタイルから選ぶ方式ですが、本当に自分のお好みでタイルの浴室を叶えることも可能です。
オーダーユニットバスであれば下記のようなタイルも浴室に使用が可能です。
ただし、費用としては完全オーダーとなりますので4、500万円前後からになってきます。
ユニットバスのグレードについて
ここで少し、ユニットバスのグレードについて触れておきます。
各社ユニットバスには大きく分けて3グレード、いわゆる松竹梅のグレードがあります。
グレードが上がるにつれて、照明や仕上げ材などの質が上がってゆきます。
それぞれ、簡単にどのような特徴があるのか、以下に記したいと思います。
標準(普及/一般)グレード
普及グレードは各社で言うと以下のグレードを指します。
- リクシル:リデア(戸建て用)、リノビオV(マンション用)
- TOTO:サザナ(戸建て用) 、マンションリモデルタイプ
- パナソニック:ビバス(戸建て)、リフォムス(マンション用)
一般的な断熱性能、清掃性、各社選びやすいパネル柄を取り揃えた標準モデルとなります。
定価で言えば、80万円~160万円ぐらいの商品群となっているのが一般的です。
上位グレード(高級)グレード
メーカーとしても最上級の提案とあり、温浴効果やリラクゼーション効果を上げるための肩湯や腰湯、またリクシルであればタイルやセラミック素材を壁面に取り入れることができることが特徴です。
価格帯も定価であれば100~300万円と幅広い選択肢となっています。
- リクシル:スパージュ(戸建て用/マンション用)
- TOTO:シンラ(戸建て用/マンション用)
- パナソニック:Lクラス(戸建て/マンション用)
参考:廉価グレード
廉価グレードで共通して言えることは、浴槽が簡易FRP(賃貸向けのようなもの)であったり、断熱がついてなかったり、清掃性よりもコスト重視と、本当に簡素な作りになっていることが多く、自室に設置すると言うよりは、単価を抑えて賃貸用に設置するといった意味合いが強い商品群となっています。
価格は定価で50万円からと、割引も考えれば最も安価に浴室を導入することのできる商品群です。
- リクシル:リデア(c/戸建て用)、リノビオフィット(マンション用)
- TOTO:サザナ(戸建て用) 、マンションリモデルタイプ(WS等)
- パナソニック:オフローラ(戸建て)、MR(マンション用)
各社ユニットバス紹介
国内主要なユニットバスメーカーの商品展開と、他社と比べたときに特徴・差異となるようなポイントについて以下で解説してみたいと思います。
ー販売シェアに囚われませんように「近年の更新状況」を記しました。
特に「近年の更新状況」という項目では、ここ5年間ぐらいで該当メーカーの商品群がきちんとアップデートされてきているか*1についてでもありますので、シェアを差し置いたとしても採用する基準ともなるかと思います。
*1.リフォーム産業新聞web版より抜粋(参照しているデータは、統計的にも業界でしっかりとアンケートを集計しているリフォーム産業新聞さんのデータを元に客観的な定量データとして提示していますのでご安心ください。)
ー個人的にこの商品を推すか / それともオススメしがたいか、を記しました。
またあわせて、プランナーとしての個人的な意見も正直に記しました。
ともすれば、デメリットのようなことを露呈するかもしれませんが、いちプランナーとして率直に思うことを記載しますので、参考になれば幸いです。
***
それでは、各社のユニットバスについて、簡単ではありますが、2024年現時点での最新情報をアップデートしてゆけたら幸いです↓
リクシルのユニットバスで特筆すべきポイント
1. 近年の更新状況
2024.4月より戸建て用「リデア」とマンション用「リノビオv」間での商品差が縮められるような動きが展開されます。*追ってまた記載させていただきます。
2. 浴室全体デザイン等/パネル
ー普及価格帯/ リデア /リノビオv
→ totoなどと比べると、木目柄も多く、よりリビングとの一体感を意識した浴室デザイン提案。
コロナ禍で、在宅が多くなり、
夜だけでなく、朝や日中など、さまざまな生活のシーンで使われることが多くなった浴室に対する回答のひとつですね。
壁パネルも、以下のように選びやすい色柄にリフレッシュされました。
ー高級価格帯のスパージュでは、壁に「セラミック・タイル」が選べるというメリット。
国産ユニットでは唯一壁パネルにタイルを使用できるメーカーです。
3. 水栓/金物/床/浴槽ほかディティール
ーいつまでも美しく、飽きのこない普遍的な水栓へのこだわり。
グローエによるデザイン水栓は、時流に流されず、いつまでも美しく使用することを想定したデザインで、変にこだわることなく、清掃によっていつまでも美しく使用することが可能なのが嬉しいポイントです。
ー「タイルの床、やめてます。」
近年のマイナーチェンジで、シリーズからタイルの床の提供をやめました。保温性、ヒヤッとしない、清掃性も良いそれらのニーズにきちんと応えるために、自社開発したサーモフロア、また居室部とのつながりを意識したグランフロア、がリクシルの浴室の良さです。
4. その他
ー目で見て、肌で感じて美しい「浴室然」とした唯一無二の佇まい。
ー2タイプのオプションシャワーを用意
レインシャワーを実現するオーバーヘッドシャワー水栓提案
入浴しづらい方にも重宝される独自機構です。温浴効果のあるシャワーオプション「ボディハグシャワー」
5. 個人的にこの商品を推すか / それともオススメしがたいか
ー総合点が高い。やはりTOTOとシェアを2分するだけある会社さんです。
高級ラインナップの「スパージュ」から、普及グレードの「リノビオ・リデア」に至るまで、それぞれにデザインセンスもあり、また清掃性・保温性への安心、そして
ー施工に関しても安心できます。
扱う人間が多いからこその保守や施工不備の少なさも魅力だと私は思います。
TOTOのユニットバスで特筆すべきポイント
1. 近年の更新状況
「シンラはこれまでナチュラルテイストを強みにしていましたが、お客様からご要望いただいているモダン・シックといった空間提案もさらに大きく広げていきたいと思っています」と山下氏は語る。
https://www.reform-online.jp/news/manufacturer/21988.php
2. 浴室全体デザイン等/パネル
ー継ぎ目の少ない、パネルデザインとしては国内で一番上質なデザイン展開
リクシルのようにタイルの展開はないものの、それと見間違うかのような上質でおしゃれな石目、セラミック、木目のラグジュアリー間のあるパネルデザインが魅力の一つです。
3. 水栓/金物/床/浴槽ほかディティール
ー水栓とカウンターが一体となり、すっきりとおしゃれな空間を演出(シンラの場合)
さらに照明は明るさ、速度の変化で1/fゆらぎを表現しリラクゼーション効果も。(瞑想揺らぎモード)
シーンに合わせた調光が可能です(シンラの場合)。
ー柔らかい床は高齢者や子供にも安心。保温効果も。
4. その他
ーTOTOならではの「除菌水」を使った洗い場きれいの提案「床ワイパー」
オプションで単独でつけることができるオーバーヘッドシャワー
5. 個人的にこの商品を推すか / それともオススメしがたいか
totoとリクシルはそれぞれのグレードで商品の性能やデザインが似ているので、それぞれの違いの機微を知りたい方は以下の記事がさらに参考になるかと思います。
◆スパージュとシンラどちらがいい?(記事作成中)
◆サザナとリノビオ(リデア)どちらがいい?(記事作成中)
パナソニックのユニットバスで特筆すべきポイント
1. 近年の更新状況
旧来の普及価格帯(中価格帯)のユニットバスであるリフォムスブランドに変わり、2年前に「BEVAS-ビバス」というブランドが立ち上がっています。
2. 浴室全体デザイン等/パネル
ーパナソニックならではのパネルデザインに惚れてください(特にLクラス)。
ー木目すら選べる天井で「和モダン」を(Lクラス)
3. 水栓/金物/床/浴槽ほかディティール
ー独特の重厚感/高級感のある浴槽エプロン(Lクラス)
4. その他
ー天空光にこだわったモダンな照明の選択肢が魅力
ーヒヤッとしない、の回答としての床暖房
5. 個人的にこの商品を推すか / それともオススメしがたいか
個人的見解としては「天空光」と「天井・浴槽エプロン・壁パネル」のデザインに惚れ込んだ場合には大いに採用の価値は高いと思います。
Lクラス、ビバス、のそれに比べて、逆にそれ以外の面、基本的な清掃性への総合的な配慮、金物などの仕上がりについてはリクシルなどの方が総合的におすすめと思っています。
タカラスタンダードのユニットバスで特筆すべきポイント
1. 近年の更新状況
2年ほど前から浴室デザインに特にこだわりを持った商品開発に力を入れてきているようです。
2. 浴室全体デザイン等/パネル
ー上位のいくつかのデザインはモダン。ただし他の選択肢に乏しい印象を受けます。
3. 水栓/金物/床/浴槽ほかディティール
ー体全体がより温まる「ホーロー浴槽」を備えたシリーズがあるのが特徴。
ー床はタイルも選べるのでおしゃれが嬉しい。
4. その他
ー他メーカーにはない、独特のジャストフィット寸法検討が可能。
5. 個人的にこの商品を推すか / それともオススメしがたいか
上位グレードの「プレデンシア」の独自ホーロー浴槽は人造大理石に比べ副次的な温浴効果が高いようなので、実際のところ体験してみたいところですね。
ただし全体としては…特筆すべき性能は…。ホーロー全面推しって感じでしょうか。。
あと、価格面でも、定価を他社よりも低く設定している一方で、割引率が低いので、最終的な購入金額は他社の同等グレードの値引き後商品と同じくらいになることに留意しておきましょう。
↓特に浴槽・エプロン周りを含めたデザインが少しリクシルやtoto、、パナソニックには及ばない気はしますが皆さんいかが考えますか・・?
クリナップのユニットバスで特筆すべきポイント
1. 近年の更新状況
2024年、特に注目です。
新システムバスは中高級価格帯「SELEVIA(セレヴィア)」と普及価格帯「rakuvia(ラクヴィア)」の2ブランド。サイズバリエーションや構造体を一新した。もともと戸建て住宅用のサイズ展開をしていたが、マンションやリフォーム需要に対応できる1317サイズや1418サイズ、1620サイズをラインアップ。軽量化や短時間組立を可能にする「新サンドイッチパネル」に改良した。
https://www.reform-online.jp/news/manufacturer/24309.php
2. 浴室全体デザイン等/パネル
ー床の色や天井の色が選べて、よりリビングインテリアの一部としての浴室提案。
天井も、フロア材も他社にはない色の選択肢が可能。
ー壁パネルのデザインもそれ相応にバリエーション用意あり
3. 水栓/金物/床/浴槽ほかディティール
4. その他
5. 個人的にこの商品を推すか / それともオススメしがたいか
あえてクリナップの浴室を案内する動機が今のところ見つかりません。。。
サイトをおとづれて、ぱっと見デザインが気に入れば、検討してもいいかもしれません。くらいです、
ハウステックのユニットバスで特筆すべきポイント
1. 近年の更新状況
ハウステックはイメージとしては賃貸向けの物件に入れるイメージが個人的には強いです。
エンドユーザーさんから相談されることは少ないです。
2. 浴室全体デザイン等/パネル
中でも完全受注生産で定価185万円前後から、ユニットバスながらひのきの浴槽を採用できるモデルがあるようなので、参考に記しておきます。
他のデザインについては、特段。。。
逆にいうと、リクシルやtotoにはないなにかよさがありますか?
3. 水栓/金物/床/浴槽ほかディティール
4. その他
ー間接光で空間に広がりを感じされるアイデアが独特です。好みです。
5. 個人的にこの商品を推すか / それともオススメしがたいか
んー、、、好み。。です。
積水ホームテクノのユニットバスで特筆すべきポイント
1. 近年の更新状況
この会社、個人的にあまり知りません。。
2. 浴室全体デザイン等/パネル
ー導線が突き抜けている独特の浴室デザインの選択肢があります。
3. 水栓/金物/床/浴槽ほかディティール
4. その他
5. 個人的にこの商品を推すか / それともオススメしがたいか
戸建で変わったレイアウトが可能なユニットバスをお探しであれば。
ただし、パネルのデザインなどは大手メーカーの方が洗練されている気がします、ご留意ください。
トクラス(ヤマハ)のユニットバスで特筆すべきポイント
1. 近年の更新状況
数年前からブランドは変わってません。yunoとevery、ヴィタールという基本ブランドで、独特のデザインかとも思います。
2. 浴室全体デザイン等/パネル
パネルデザインはリクシルやtotoに負けないような独特のデザインが特徴です。
あとは、トクラスは人造大理石のメーカーだけあってマットな質感の浴槽の選択肢など、ショールームで一見の価値はあるかと思います。
3. 水栓/金物/床/浴槽ほかディティール
4. その他
5. 個人的にこの商品を推すか / それともオススメしがたいか
んー、好みの問題ですが、クリナップとかに比べると割とデザインが好きな人におすすめの浴室です。
浴槽の形や素材感などもトクラスならではです。
ショールームで実物を見る価値はあるかと考えています。
各社に共通するような性能まとめ
断熱性・保温性
普及グレード以上であれば標準的な保温性能がありますが、(スパージュなど)上位機種によって断熱材の厚みが異なったり、パネルの断熱材の厚みもメーカーによっては異なります。
ただまあ、基本性能はあって、プラスアルファ、といったことだと思うので、そこら辺は予算との兼ね合いでしょうかね。。。
清掃性
カウンターが清掃しやすいのはもとより、取り外せるといった選択肢も(リクシルですが)あるので、そういった視点も持っておくといいですね。
耐久性
普及グレード以上の商品であれば、そんなに気にする必要はないでしょう。
廉価モデル等になると浴槽がFRPになってきますので、長期的な保守(汚損等)に関しては少し気にされた方がいいかもしれませんね。
バリアフリー
ハンドルバーや腰掛けベンチなどの選択肢が上位メーカーにあります。
付加価値
音響、テレビ、肩湯、マイクロバブルなどのオプションは基本的には上位のメーカーであれば用意があるので、それを軸に考えなくても良いでしょう。
意外とお掃除浴槽もメーカー独自のものではなく、どの浴室浴槽にも採用できる機能の一つです。
マイクロバブルも以前ではパナソニックだけでしたが、OEM商品を使用すればどのメーカーにもオプションで実は導入することが可能だったりします(意外と知られていないですが…)。
不定形な形の対応
斜めの斜屋根*1、梁欠き、柱かき、天井高拡張などもまた上位のメーカーであれば対応が可能なことが多いのでそれほど心配しなくてもいいかと思います。
*1.タカラスタンダード、リクシルで対応可能確認済み。ただし寸法に制約あり。規格外寸法の場合にはメーカー品ではなくなりますが、特注オーダーでの対応も可能です。
用意のある規格寸法
1216から1418、1616、1618、1620が大体の基本寸法となり、各メーカーによって多少の追加サイズがあります。タカラスタンダードに至っては、フリー設計の~1824まで寸法調整が可能。
ここまで読んだあなたへ
ーお分かりの通り、実はどのメーカーを選んでも割と満足度は高いです。
現在では割とメーカーだそれぞれ出している機能は似ていきていますし、デザインも各社ものすごくオシャレで、正直なところどれを選んでも満足度の高いリフォームを叶えることは可能です。
***
ポイントとしては
- どんな色柄かよりも、どんな印象を得たいかを理解することが大切。
- メーカー独自の良さとどの会社でも共通で採用できる内容をきちんと分けて理解しよう。
- そもそもがどれ選んだらいいかわからないなら…上位3社から検討しよう。
ご不明な点、ご自身に合った浴室リフォームプランニングを希望の方はお気軽に相談いただければ幸いです。
だからこそ、”温まる” “(毎日)清掃性がよく” ”(長期的にみて)リラックスのできる空間” を、予算とのバランスの中で上手に組み立てる必要があります。それがプランナーがいる意義です。
実際わりと似たり寄ったりなメーカーによる機微、このバランス感覚の優れるプランナーにしっかりと任せられるかがポイントです!